新宮市に本社を置く株式会社山一木材と株式会社バイウィルが共同で進める森林クレジット創出プロジェクトが、国の「J-クレジット制度」に正式登録されました。
少し難しく聞こえるニュースですが、ざっくりいうと「熊野川流域の森林を適切に管理し、そこで増えたCO2吸収量を価値に変えて企業などに販売。その収益を林業の継承や森林保全に役立てていく」という取り組みです。
対象となるのは、熊野川流域の和歌山県・奈良県・三重県内にある森林で、その面積は2,027.30ha。プロジェクト全期間を通じたCO2吸収見込み量は53,201.9t-CO2とされています。
森林を守ることが新たな収益につながり、その収益を再び地域の林業や森林保全に還元していくことを目指す今回のプロジェクト。
この記事では、J-クレジットとはどのような制度なのか、今回のプロジェクトで何が行われるのか、新宮市との関わりも含めて分かりやすく紹介します。
山一木材とバイウィルのプロジェクトが正式登録
株式会社山一木材と株式会社バイウィルが共同で進めてきた森林クレジット創出プロジェクトが、J-クレジット制度の第68回認証委員会で正式に登録されました。
今回の取り組みは、紀陽銀行からの紹介をきっかけに始まったものです。
プロジェクト登録が完了したことで、今後は両社が協力しながら、森林管理によって生まれる環境価値をJ-クレジットとして創出し、販売を進めていく予定です。
そもそも「J-クレジット」って何?
J-クレジット制度とは、省エネルギー設備や再生可能エネルギー設備の導入による温室効果ガスの排出削減量や、適切な森林管理によるCO2などの吸収量を、国が「J-クレジット」として認証する制度です。
認証されたJ-クレジットは企業などとの間で取引でき、購入した企業は温室効果ガス削減目標の達成などに活用できます。
森林の場合、適切な管理を続けることでCO2の吸収量を増やし、その増加分を一定のルールに基づいて「価値」として認証してもらう仕組みがあります。
つまり今回の取り組みでは、
森林を適切に管理する → CO2吸収量が増える → J-クレジットとして認証する → 企業などへ販売する → 収益を林業や森林保全に還元する
という流れを目指します。
これまで森林が持っていたCO2を吸収する力に経済的な価値を持たせ、森林を守りながら地域の林業にも役立てようという取り組みです。
熊野川流域の2,027haを超える森林が対象
今回J-クレジット創出プロジェクトとして登録されたのは、山一木材による森林管理の取り組みです。
プロジェクトの概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 適用方法論 | 森林経営活動 |
| プロジェクトの種類 | 通常型 |
| 実施地域面積 | 2,027.30ha |
| CO2吸収見込み量 | 全期間で53,201.9t-CO2 |
対象となる森林は、熊野川流域の和歌山県・奈良県・三重県内にあります。
森林は、ただ残しておけばよいというものではありません。適切に管理することで林内に光が入りやすくなり、植物の成長などを通じてCO2吸収量の増加につながります。
今回のプロジェクトでは、山一木材による森林管理によって増加したCO2吸収量について、バイウィルが必要な手続きを行い、J-クレジットとして価値化していきます。
J-クレジットの収益を林業や森林保全へ
今回のプロジェクトで注目したいのは、単にCO2の吸収量を増やすだけではなく、森林から生まれた環境価値を収益につなげ、その収益を林業の継承や森林保全へ還元していくことです。
森林を適切な状態に保つためには、継続的な管理が欠かせません。
一方で、森林由来のJ-クレジットを創出するためには、専門的な申請や審査への対応、CO2吸収量のモニタリングなども必要になります。
そこで今回のプロジェクトでは、山一木材が森林の管理を担い、バイウィルがJ-クレジットの創出から販売までを支援します。
森林管理によって生まれた環境価値を販売し、そこで得られた収益を森林保全や林業へ還元することで、地域の中で環境価値と経済価値が循環する仕組みを目指しています。
新宮市に本社を置く山一木材
今回のプロジェクトを進める株式会社山一木材は、新宮市新町に本社を置く企業です。
1953年に設立され、素材生産や製材、苗木生産、造林事業など、森林や木材に関わる幅広い事業を展開しています。
熊野川流域の和歌山県・奈良県・三重県内を拠点として森林の管理・活用に取り組み、地域の林業を支えてきました。
今回、J-クレジットを林業の活性化や地域のために活用できると考え、クレジット創出に取り組むことになりました。
山一木材の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 株式会社山一木材 |
| 所在地 | 和歌山県新宮市新町2丁目1-5 |
| 代表者 | 代表取締役 瀬古伸一郎 |
| 法人設立 | 1953年 |
| 事業内容 | 素材生産、製材工場、苗木生産、造林事業 |
バイウィルがクレジットの創出から販売まで支援
株式会社バイウィルは、カーボンクレジットなどの環境価値創出・売買、脱炭素コンサルティングなどを手掛ける企業です。
今回のプロジェクトでは、J-クレジット制度への登録申請や審査対応を支援しました。
今後も、J-クレジットの認証に必要となるモニタリング手続きなどに加え、販売戦略の立案から実際の販売まで支援する予定です。
こうした専門的な部分をバイウィルが担うことで、山一木材が管理する森林から生まれる環境価値を、新たな収益につなげていきます。
バイウィルの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 株式会社バイウィル |
| 本社 | 東京都中央区銀座七丁目3番5号 ヒューリック銀座7丁目ビル4F |
| 代表者 | 代表取締役社長 下村雄一郎 |
| 主な事業 | 環境価値創出支援、環境価値売買、脱炭素コンサルティング、ブランドコンサルティング |
熊野川流域の森林を守りながら新たな価値へ
熊野川流域には、新宮市を含む和歌山・奈良・三重の3県にまたがって豊かな森林が広がっています。
今回のプロジェクトは、そうした地域の森林を適切に管理し、CO2を吸収するという森林の役割をJ-クレジットとして新たな経済価値につなげる取り組みです。
対象となる森林は2,027.30haに及び、全期間のCO2吸収見込み量は53,201.9t-CO2とされています。
J-クレジットの創出・販売によって得られた収益が林業の継承や森林保全活動へ還元されれば、森林を守ることが地域の産業を支え、さらに次の森林管理につながっていく循環が期待されます。
新宮市に本社を置く企業が、熊野川流域の森林を活用して「環境」と「林業」を結び付ける今回のプロジェクト。今後、J-クレジットの創出や販売がどのように進んでいくのか注目です。
参照元:プレスリリース



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